オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
警視庁の大迫警視はあるハイジャック事件を機に知り合った沖縄を愛する青年、通称「座間味くん」とたびたび過去の事件について意見を交わす。そんな中で「座間味くん」はその推理力を見せる。
本物語は、石持浅海の別の作品「月の扉」と関連する部分が多く、「月の扉」を読んだ人のほうがより楽しめるだろう。僕自身、「月の扉」の物語を漠然としか覚えていなかったのだが、「座間味くん」の推理を楽しむ分にはまったく問題がなかった。
短編集の形をとっていて、最後の一編をのぞいてはいずれも大迫警視が事件の概要を話して、それに対して「座間味くん」が意見を述べる、という形をとっている。つまり、「座間味くん」は大迫警視が語った言葉だけで状況を分析し、警察が気づかなかった真実を推理してみせるのだ。物語が展開する場所の狭さはいかにも石持浅海らしい。
しかし、感想としてはやや「座間味くん」の推理は行き過ぎていて納得しかねると感じる部分も多々あった。また、最後の1編をのぞいた6編ともに事件の概要以外はほとんど同じ展開だったため、やや退屈を感じてしまった。
ちなみに石持作品ではすでに碓氷優香(うすいゆか)というヒロインがいるが、この本名の明らかになっていない「座間味くん」も今後何かほかの展開があるのだろうか。
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