オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
叔母の冬子(ふゆこ)が突然急死し、その遺品を整理することとなった朝美(あさみ)は、冬子(ふゆこ)の高校時代の日記を見つける。そこには当時の冬子(ふゆこ)の青春が描かれていた。
映画雑誌の編集者という忙しい日々を送っている朝美(あさみ)のその多忙な仕事の様子が描かれるなかで、ときどき思い出したように朝美(あさみ)は冬子(ふゆこ)の遺した日記を開いて読み進める。
現代の朝美(あさみ)の様子と、数十年前の冬子(ふゆこ)の青春という、時間の差のある2つの物語が交互に進んでいく。ただのよくある高校生の恋愛に見えた冬子(ふゆこ)の日記は、やがてその時代の問題へと繋がっていく。また、現代の朝美(あさみ)は大物俳優のインタビューの準備に奮闘することとなる。
個人的には冬子(ふゆこ)の日記の中で描かれている一時代前の高校生の恋愛模様にはどこか懐かしい空気を感じる。携帯電話もパソコンもない時代。多くの場合恋愛の窓口は家の固定電話だったのだろう。
冬子(ふゆこ)はなぜ魅力的な女性でありながら生涯独身で過ごしたのか、そんな謎が遺された日記から少しずつ明らかになっていく。
やや最後は物語的に作られ過ぎた感を感じなくもない。ひょっとしたら妙な捻りをいれずに単純な高校生の恋愛物語にしたほうが素敵な作品に仕上がったかもしれない、と感じた。
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