「蒲生邸事件」宮部みゆき

オススメ度 ★★★★★ 5/5

第18回日本SF大賞受賞作品。
孝史(たかし)は偶然出会った男によって昭和11年の東京に連れて行かれ、その時代で、その時代を必死に生きている人々と接する。

俺はどうして今ここで拳を振り、群集に向かって叫ばないんだ。このままじゃいけないと。僕は未来を知っていると。引き返せ。今ならまだ間に合うかも知れない。みんなで引き返そうと。

北朝鮮の国民の映像がテレビで良く流される。日本の人間から見ると明らかにおかしい。金正日の何を信じているのか・・。そして、その先に明るい未来がないことも僕らにはわかる。それでも僕らには何もできない、彼等になにを助言しようと彼等は信じようとしない。生まれた時から彼等はそういう世界にいるからだ。戦時中の日本についても同じことが言える。今の時代から見ると明らかにおかしい。「大和魂」なんて言葉を理由に、銃弾の中に何度も突っ込んで行ったと言う。僕がその時代のその場所に行くことが出来たら、彼等をとめることができるだろうか。広島、長崎の原爆をとめることができるだろうか。未来がわかっていても、一人の力なんて無力なのかも知れない。

「なにか面白い本ない?」と人に聞かれた時、僕がまっ先に挙げる本のうちの一冊である。
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