オススメ度 ★★★★☆ 4/5
骨髄白血病を患うKateを救うために遺伝子操作をして生まれたAnna。両親は、Annaは輸血や骨髄移植などを繰り返させてKateの命を永らえさせる。しかしある日、Annaは自分の意思で自分の行動を決める権利があるはず。と、両親に対して訴訟を起こすことを決意する。
なんという重いテーマなんだろう。言ってしまえば「命の比較」である。1つの命を生きながらえさせるために、1人の健康な人間に痛みや不自由を強いることが正しいのか。本作品で扱われているのは、そんな軽く恐れを抱くほど重いテーマである。前半部分は回想シーンを繰り返しながら、Kateが白血病と診断されて、Annaを生む決意をする両親のSaraとBryan。そして、KateとAnnaの兄Jessiの生活など、常に死と隣り合わせの人間が家族のなかにいるがゆえに、普通の生活とはかけ離れた日常を送らざるを得ない家族の生活が描かれる。
本作品の注目すべきなのはその重いテーマだけでなく、そのテーマをより現実的に見せる、さまざまな描写である。例えば病院に検査や手術に向かうたびに自分の部屋を過剰なまでにきれいにするKateや、自分の言う事をKateの言う事ほどしっかりと聞いてもらえないと感じる兄Jessiなどがそれである。
そして後半は舞台を法廷に移す。証人として証言するそれぞれの心のうち。特に父親であるBryanの証言は涙を誘う。。
最後まで証言することを拒むAnna。そして訴訟を起こしたAnnaの本当の意図は最後まで明らかにならない。訴訟を通じて次第に心を通わせあう弁護士のCampbellとAnna。Campbellの連れている犬の名前がJugdeという点が個人的にはヒットである。
僕ら日本人からすればAnnaの生まれる過程。つまり遺伝子操作による出産という部分にも興味を持ってしまうのだが、残念ながらその点には本作品は触れていない。このへんがアメリカと日本の文化の違いだろうか。
なんにしても後半は涙を誘うシーン満載である。