「スターバックス成功物語」ハワード・シュルツ

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
スターバックスのCEO、ハワードシュルツがその成功の奇跡を語る。
いろんな雑誌や本で何度も言及される本書。いつのまにか読まなければいけない本として僕の頭に残っていた。すでに13年前に出版された本ということで、現在のスターバックスの状況に本書の内容が追いついているとはいえないが、その発展の裏にある考え方、途中で超えなければならなかったたび重なる困難などを知るにはまったく問題ないだろう。
セールスマンだったシュルツがスターバックスと出会い、スターバックスに入社し、また考えの違いから独立して起業し、そしてスターバックスを買収して世界に広めていくまでが時系列に語られている。

人生はニアミスの連続と言ってもいい。われわれが幸運と見なしていることは実は単なる幸運ではないのだ。幸運とはチャンスを逃さず、自分の将来に責任を持つことにほかならない。

そしてそんな中でスターバックスの信念としてひたすら繰り返されるのが「真心を持って美味しいコーヒーを飲ませたい」というものだ。そしてその信念をスタッフ全体(「パートナー」という言葉を使っているが)にいきわたらせるためにさまざまな試みがされていることがわかる。一体、世の中のどれほどの企業の社員が、会社のやることに信念を感じて働けているのだろうか、と考えてしまう。こんな素敵な会社に自分の知識や時間やエネルギーを費やし貢献できたらきっと幸せだろう。
そして後半は、会社が大きくなったことによって生じる問題。そして、その信念と客の求めるものの間で悩み、下される決断とその結果について書かれている。
たとえばフラプチーノの登場の裏話や、空港への店舗のオープンなどがそれである。
普段日常的にスタバを利用している僕らがみているのは、その苦渋の決断の結果でしかないため、その前段階にここまで大きな葛藤があったなど知るはずもない。だからこそ、その決断までの過程はどれも興味深いものばかりであった。

スターバックスが硬直化した企業だったら、あのような形でフラプチーノが誕生することはなかっただろう。

そして、ハワード・シュルツの言葉からは企業を大きく成長するにあたっての経営者のあるべき姿のようなものが感じられるだろう。

自分より物事を知らない人間から何が学べると言うのだ。彼らは自尊心は満足させてくれるし、指示にも素直に従うだろう。だが、成長の支えにはならないのだ。

間違いなく本書はスタバへの見方を大きく変えてくれる。そして、次回スタバに行ったとき今まで見てなかったところまで見ようとしてしまうだろう。

絶えず変化しつづけるこの社会において、最も永続性のある強力なブランドは真心から生まれる。それは本物であり、必ず生き残る。こうしたブランドは強力な力で支えられている。なぜなら、それを築いたのは広告キャンペーンでなく人間の真心だからだ。長く続く企業とは信頼される企業にほかならない。

いつかシアトルに訪れることがあったら、1号店に行ってみたい。
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