オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
江戸の鉄塀長屋で起こる出来事を描く。とある事件によって評判のよかった差配人が行方をくらまし、その後、不自然にも鉄瓶長屋の差配人になった佐吉。そして次第に店子は減っていく。
江戸を舞台にした物語ということで、当時の社会の仕組みや職業など、その多くはもちろんしっかりとした説明がされてはいるが、少々わかりにくいかもしれない。それでも読み薦めるにつれて、鉄塀長屋で生活しているお徳やおくめ、平四郎など、個性あふれる登場人物たちの魅力に引き込まれていくことだろう。
小さな事件で始まる物語はやがてその背後にある大きな陰謀へと導かれていく。単純な物語として楽しむだけでなく、当時のしきたりや風習、人々の考え方の現在との違いなども含めて楽しめるだろう。