オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
堀江(ほりえ)の同僚の柿島(かきしま)が集団暴行を受けて死亡する。不信に思った堀江(ほりえ)が事件を探るうちに不信な点が見えてくる。
藤原伊織(ふじわらいおり)の遺作となった本作品。実際あとがきには本編の第8章まで著者校正を入れた、と書いてあるからなんともやるせない。
さて、内容はというと、本作品はタイトルからもわかるとおり「てのひらの闇」の続編として位置づけられている。「てのひらの闇」を読んだのだすでに2年以上も前の話で、同じく藤原伊織作品でお気に入りの一つでもある「シリウスの道」とかなり主人公のキャラクターがかぶっているため思い出すのにかなり時間がかかったが、歯に衣着せぬ物言いと、乱暴なバイクの運転が個性的なバーのオーナーのナミちゃんや、堀江(ほりえ)の元部下で行動力のある大原(おおはら)の振る舞いに触れるうちにぼんやりと思い出してきた。
とはいえ、本作品を楽しむ上で必ずしも前作品を読む必要はなく、本作品から入った人でも十分に楽しめるだろう。事件の真相に迫るにつれて、コンビニ業界の内部事情に話が及ぶ点も面白い。
例によって人を引き込むその物語と、読者を魅了する登場人物たちによって、改めて、藤原伊織の作品がこれ以上新しく世に出てくることがないことを残念に思うのである。
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