「アイルランドの薔薇」石持浅海

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
南北アイルランドの統一を目指す武装勢力NCSの1人が、とある宿で殺される。同行していたNCSのメンバー2人と、同じ日に宿泊していた一般客数人が、事件が解決するまで宿にとどまることを決める。
限られた空間で物語を最後まで展開する流れは、石持浅海(いしもちあさみ)作品の特長である。本作品ではその空間はアイルランドのスライゴーという場所にある宿である。他の石持作品と異なる点は、日本以外を舞台としている点と、その国の歴史的背景を物語に取り入れている点だろう。
実際、本作品では、アイルランドとグレートブリテン王国(いわゆるイギリス)の悲劇的な歴史について触れている。中途半端な位置にある国境の理由や、それぞれの宗教の違いについて理解を深めることになるだろう。
さて、本作品ではたまたま宿泊していた中にいた日本人、フジが事件の解決への大きな役を担う。今回も最後で読者の想像を見事に裏切ってくれる。

スライゴ
アイルランド共和国スライゴ州の州都。コノート地方においてはゴールウェイに次いで人口の大きな町である。(Wikipedia「スライゴ」)
ベルファスト合意
イギリス北アイルランドのベルファストで1998年4月10日にイギリスとアイルランド間で結ばれた和平合意。(Wikipedia「ベルファスト合意」
参考サイト
Wikipedia「アイルランド」

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