オススメ度 ★★★★☆ 4/5
Lisbeth SalanderはBlomkvistと距離を置くことを決めて海外に旅に出る。一方Blomkvistは、新たな2人のパートナーと共にスウェーデンの裏に広がる性売買の実態を暴こうと動き出す。
Stieg Larsson三部作の第二作である。前半は前作「The Girl Who has The Dragon Tatoo」の後のSalander、Blomkvistとその周辺の様子が描かれて、ややスピード感に懸ける部分があるが、3つの殺人事件を機に、Salanderが追われる身となって、物語は一気に加速する。
面白いのは、事件を巡って3つの方向から真相を究明しようとする動きがあることだろう。一つは警察であり、残りの2つは、Salanderの無実を信じる、Blomkvistと、Salanderの職場である、警備会社である。
一見ただの殺人事件に見えていたものが、次第にSalanderの過去と深く関わっていることが明らかになってくる。「All The Evil」と呼ばれた日、Salanderに何が起こったのか、すべての公式な記録から抹消されたその出来事。その結末はまたしても想像を超えてくれた。
また、凶暴な売春婦と一般的に忌み嫌われているSalanderを、わずかであるが信頼している数人の人間がいて、彼らが必死になってその無実を証明しようとする姿がなんとも温かい。特に、彼女の保護者であり理解者であったPalmgrenとチェスをするシーンなどでは、彼女の中の優しさのようなものも感じさせてくれる。
物語としては文句なし。個人的にはもう少しスウェーデン語やスウェーデンの地名を知っておいたほうが楽しめるだろう、と思った。