「赤い指」東野圭吾

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
妻からの連絡で家に急いで帰ると、庭には少女の死体があった。息子の犯罪を隠すために共謀することとなる。
久しぶりの東野圭吾作品である。息子の犯した犯罪を隠すために共謀する家族と、それを捜査する刑事の側の2つの視点から物語は展開する。面白いのはその家族には痴呆症を患っている祖母が同居している点だろう。息子が親である自分に対しての態度を「親への感謝の気持ちがない」と嘆く一方で、痴呆症である母を疎んじる自分自身を恥じるのである。
そして一方で、本件を捜査する刑事、松宮(まつみや)と加賀(かが)の物語も本作品の魅力である。刑事になる前から加賀(かが)と顔見知りだった松宮(まつみや)は、父親の命がもう長くないことを知りながら会おうとしない加賀(かが)に不満を持っていた。
最終的に親と子の在り方を見せてくれるクライマックスが用意されていた。少し作りすぎの印象を受けたが、楽しむことができた。以前は読書のための読書にしかなりえなかった東野圭吾作品だが、ここ2,3年の作品からは、以前になかった現実社会を反映した深みのようなものが感じられるようになった気がする。
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