オススメ度 ★★★☆☆
タレント事務所で働く祐二(ゆうじ)はあるとき、バンドでギターを弾いている夏美(なつみ)というとびっきりの才能と出会う。事務所の方針とは相反するものの彼女を売り出すことを決意する。
一見軽率なイメージを与えがちな、タレント事務所であるが、本作品では最初から、そこで働く祐二(ゆうじ)の、優しいがゆえに、苦しむ様子が描かれている。
普段接することのな世界で生きる人々のその一生懸命な姿、そこで生きるがゆえに感じる多くの矛盾や葛藤が描きながら進む夏美と雄二の夢物語を期待し、期待感は膨らんだのだのだが、夏美(なつみ)の所属するバンドのボーカル、薫(かおる)の自殺をきっかけに話は一気に動き出す。
どうして薫は自殺したのか…。
しんみりとしがちなテーマではあるが、自分の才能を知らずに思ったまま行動をする夏美(なつみ)の姿はとそれに振り回される祐二(ゆうじ)のやりとりはなんとも微笑ましくタイトルの「疾風ガール」を裏切らない。
幼い頃は「がんばればなんでもできる」なんて言われて育ったけど、20代も過ぎれば「才能」というものが世の中には存在することは誰もが理解している。生きる道によってはその「才能」の違いは努力で補えたりもするが、「才能」がなければいきていけない道もある。
そういう道で生きている人たちがどんなことを感じ、その道でそんな嫉妬や葛藤、そして絶望が生じるのか、ほんのすこし理解できたような気がした。
【楽天ブックス】「疾風ガール」