オススメ度 ★★★★☆ 4/5
クラスメートの運転するバイクに撥ねられて死んだ姉、野々村涼子(ののむらりょうこ)の死の真相を知るために、妹の結花は、姉と同じ高校への入学を決め、姉と同じ写真部へ入部することを決める。
すでに死んでしまった姉、野々村涼子(ののむらりょうこ)の人物像が、物語を進めるうちに明らかになっていく。その過程ももちろん興味深いが、むしろ涼子(りょうこ)をバイクで撥ねてしまったクラスメイトの菅井清彦(すがいきよひこ)の、その悲しい生い立ちゆえにその心の中にはぐくまれた世の中に対する敵対心のようなものに心を揺さぶられるものがあった。
そしてだからこそ、涼子(りょうこ)の強い生き方も際立つのだろう。
ミステリーとしての要素だけでなく、学園を舞台とした青春小説のような色合いも持っている。「青春小説」なんて言葉を使ってしまうと、なんか恋愛とか、努力とか、すごい薄っぺらく現実とかけ離れた理想の物語のような印象を与えてしまうかもしれないが、本作品には、受け入れるべき自分の弱さや、生きるうえで持つべき信念のようなものを考えさせてくれる作品だった。
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