「百貨の魔法」村山早紀


オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
昭和の時代からある町にある百貨店。その百貨店には願いを叶えてくれる白い猫がいるという。そんな百貨店で繰り広げられる物語を描く。

物語を通じて、今ではあまり聞かなくなった、百貨店というお店の世界観に触れられた気がする。ただ単にものを売るための場所ではなく、憩いの場所やおもてなしなどを提供する場所だったことがわかる。エレベーターガールなど、懐かしい職業も登場し、昭和の時代のサービスと、今のサービスの違いを考えさせられる。古いものを過度に賛美するのも変だし、新しいものが必ずしも正しいというわけではないけれど、どちらからも学ぶ部分はあるだろう。

物語は、百貨店で働く、いろんな部署の人物からの視点で展開する。そんなそれぞれの人の考え方には、いくつかはっとさせられるようなものも含まれていた。

ひとはひとりでも育つものです。親と縁のないのはやはり寂しいことですが、代わりに、地上にしっかり立てる足を手に入れられるような気がします。
鏡を見なければ、ひとは自分と向かい合えません。見たくないからと真実から目をそらせば、その中にある美しさを見つけることができないんです。

最後は、百貨店の人間関係から後継者問題が絡んでくるが、個人的には前半の軽いノリで最後まで通してしまった方がいい作品になった気がする。

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投稿者: masatos7

都内でUI / UXデザイナー。ロゴデザイナーをしています。

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