オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
霊柩車の運転手を務める怜座彰光(れいざあきみつ)。その特異な職業とその周囲で起こった事件を物語にしている。
霊柩車の職業という普段接することのない人間を主人公にしているためにその周囲で起こる一般の人にとっては非日常的である日常的なことの描写のすべてが非常に新鮮で面白い。途中、やや現実離れした展開も見せるが、それはあとがきで作者も言及している通り、意図的なもののようだ。物語中で、死に近い場所で毎日生活しているからこそ至ったであろう考え方がしばしば出てきて、それがとても面白い。
千里眼シリーズ、催眠シリーズ、マジシャンシリーズなど、終わり方を見るとこの怜座彰光(れいざあきみつ)の物語も続編へと続きそうな気配を持っていた。今回は第1作ということで、その特異な環境やその職業の社会との関わりだけに触れるだけで、とりたててしっかりとした筋や世の中を風刺した内容を伴っていなくても、ある程度読者を満足させることができたであろうが、自作からはしっかりとしたテーマが必要になってくるだろう。次作はその辺に注目して読んでみたい。
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