オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
小学館文庫で刊行されていた千里眼シリーズの続編という位置づけではなく、新たなシリーズとなっている。過去十二作を刊行する際に7年の月日が経ち、その間、心理学の分野にも考え方もまた少し変わってきたことがその理由であると。著者の松岡圭祐があとがきで書いている。
物語は主人公の岬美由紀(みさきみゆき)が自衛隊を除隊して、臨床心理士を目指すところから始まる。飛行機の墜落をもくろむ犯人の計画を防ぐことがメインとなって展開し、美由紀の恋愛にまで触れるところが今回は新鮮である。また航空機の構造やそれを墜落させる難しさに触れているが、基本的には心理学に関する内容が多い。
松岡圭祐が本作品のあとがきで書いているように、前シリーズよりも真実に近い形にすることを重視したせいか、少し大人しい印象も受ける。とはいえ前シリーズはやや行き過ぎな印象もかなり多くそのたびに興ざめすることもあったのでこれからの展開に期待したいところである。岬美由紀(みさきみゆき)の知識や頭の回転の速さは前シリーズと変わらず大きな刺激を与えてくれることだろう。(もちろん空想の人物であるがゆえにできることではあるのだが)
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