「In The Clearing」Robert Dugoni
オススメ度 ★★★★☆ 4/5
友人であり警察官でもあるJennyが、同じく警察官であるJennyの父が保管していた未解決事件をTracyに依頼する。それは40年前に自殺した女子高生の事件である。Jennyの父が集めたたくさんの証拠と当時の写真を、現在の技術によって分析することで、Tracyは真実に近づいていくのである。
第1作がTracyの妹の死を扱ったということで、第二作目以降への期待度はあまり高くなかったのだが、本作品は非常に面白かった。やはりその要因は40年前に起こった事件が、残された証拠写真や証拠物質から真実に近づいていくという聞きなれない手法によるものなのだろう。
物語の中心となるのは、40年前に陸上の成績で将来を期待された高校生の女性Kimi Kanasketに起こった真実を解明することである。ただ単に事件の解決だけでなく、事件から40年後の今もなお彼女が自殺などするはずがないと信じて苦しみ続ける父と兄の姿が痛ましく、また自らも妹の死の謎に20年以上にわたって苦しめられたからこそそんな遺族を救おうとするTracyの姿が印象的である。
結末は予想外の展開だった。誰もが若さゆえにハメを外した経験はあるのではないだろうか。
一歩間違えればそんな若い頃の楽しい一日であるはずだった日の行動が、人生をすべて変えてしまうこともあるのである。そう考えると、決して他人事とは思えなくなってくる。
事件解決の刑事物語にすでに読み飽きた人にもオススメできる一冊である。