オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
中学校の駅伝にかける青春を描く。
追い詰められたときに力を発揮する設楽(したら)、素行は悪いが走ることは好きな大田(おおた)、バスケ部から参加したジロー、吹奏楽部から参加した渡部(わたべ)、桝井(ますい)に憧れて力をつけてきた俊介(しゅんすけ)、そしてずっと陸上部の駅伝をひっぱってきた桝井(ますい)。個性豊かな中学生たちが最後の駅伝にかける様子が、それぞれのそれまでの回想シーンなどと合わせて描かれる。
個人的には不良の大田(おおた)の心の描写が印象的である。すでに先生からも敬遠されるなか、桝井(ますい)からの誘いにしぶしぶ応じて駅伝に参加することになった大田だったが、走ることは好きでみんなの期待を越える活躍を見せるのである。
「やってもできない」それが表に出てしまうことを、俺はずっと避けてきた。できそうにない問題にぶつかると、できないと証明される前に投げ出した。そのうち投げ出すことに慣れてきて、ちょっとしたハードルでも俺は手を出そうとしなくなった。そして、その分、できないことも増えていった。
中学校の教師も、「お前はやればできrんだから」と馬鹿の一つ覚えみたいに言った。だけど、残念ながらそれは違う。俺はやったってできない。だいたいやればできるやつは、ちゃんとやっている。何にも力を注がない時間がこれだけ積み重なった俺にできることなど、一つもなくなっていた。
仲間とともに何かに一生懸命取り組むことのすがすがしさを改めて思い出させてくれる一冊。
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