「後催眠」松岡圭祐

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
松岡圭祐の「催眠」シリーズの第二弾であり、時間軸から見ると「催眠」の物語の数年前の出来事となる。
嵯峨敏也(さがとしや)はあるとき謎の女から電話を受け、伝言を頼まれる。

「木村絵美子(きむらえみこ)に深崎透(ふかざきとおる)のことを忘れるように伝えてちょうだい」

聞いたことのない名前を突然指示されて嵯峨(さが)は戸惑いながらも、真実を知ろうとする。
一方で、神経症を患っている木村絵美子(きむらえみこ)はカウンセラーの深崎透(ふかざきとおる)と再会し、同時に神経症の治療も再開することとなる。
カウンセラーと相談者との恋愛というタブーに触れながら、それを爽やかな作品に仕上げられている。嵯峨敏也(さがとしや)は語り手として登場するのみであるが、彼の視点なくしては物語のテーマは成立しない。

彼は優れたカウンセラーだったといえるのだろうか。それとも、たんなる恋に溺れた利己的な人物に過ぎなかったのか。

そしてラストは驚きと感動の結末である。松岡作品には珍しく、読むのに半日もかからない薄さで、一読しても決して後悔することはないだろう。


アダルトチャイルド
成長過程で、親や養育者に愛されなかった、虐待された、または親の不在で早くから大人としての責任を負わなければならなかった、などの理由で愛し方、愛され方がわからないまま育ってしまった人のこと。
インナーチャイルド
失われた子供時代に本当はいるはずだった自分であり、本来の自分の姿だと言える。インナーチャイルドとの出会いは、本来の自分を知るきっかけとして、また自分との語らいの手段として非常に大切なもので、子供時代の自分に出会いたいと願い、静かに瞑想する事によってインナーチャイルドと出会える場合が多いらしい。

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