オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
マンションで飼い猫に食べられて身元不明となった遺体が見つかった。国分寺警察署の奥貫綾乃(おくぬきあやの)は自殺か事件かを解明していくなかで不思議な事実に気づく。
捜査する警察の側と、一方でマンションの持ち主でおそらく遺体の身元であろう鈴木陽子(すずきようこ)側を交互に描きながら、少しずつ核心へと近づいていく。そこでは、母から愛されなかった一人の女性の不幸な人生が浮かび上がっていく。
また、捜査の過程で、少しずつ綾乃(あやの)自身の過去の失敗した結婚生活も描かれている。世の中をうまく生きることができない、鈴木陽子(すずきようこ)に綾乃(あやの)は、共感に近いものを感じていくのである。
誉田哲也の「ストロベリー・ナイト」シリーズや宮部みゆきの「火車」連想させる世界観である。つまらなくもなかったが特に新鮮さも感じなかった。過去の名作をうまく寄せ集めて書き上げたという印象である。もう少し綾乃(あやの)の生き方を深く描いて人間味を出したほうが良かったのかもしれない。