オススメ度 ★★★★☆ 4/5
泌尿生殖器科を専門とする医師、秋野翔子(あきのしょうこ)はサンビーチ病院に転勤し、インターセックスの患者たちの診療をすることとなる。
読み終わるまで気づかなかったが2011年に続いて2回目の読了である。医師、秋野翔子の活動を通じて、男とも女とも言えないその中間の存在であるインターセックスの存在に目を向けさせてくれる。
そんななか、一括りにインターセックスという言葉でまとめられる存在のなかにも、男に寄った人、女に寄った人などさまざまな存在があることがわかる。興味深いのはインターセックスの治療方針に関するサンビーチ病院の院長である岸川(きしかわ)の考え方と翔子(しょうこ)の考え方の違いである。
岸川(きしかわ)は性器があいまいだと人格も曖昧なままになるので、幼い頃に手術によって男か女に近づけるべきという考えである一方、翔子(しょうこ)は男女の間で曖昧な存在も人間として受け入れて、命の危険がない限り本人の意思を尊重すべきというのである。
また思っていた以上に多くのインターセックスが世の中に存在するという事実にも驚かされた。
インターセックスの新生児は、千五百人にひとり、広義のインターセックス、つまり性器が曖昧な新生児は百人にひとり半と言われている。
多くの人が、ほとんど誰にもそれを知られずに生きていくのだろう。2011年に読んだ時も似たようなことを感じたということは、世の中があまり進歩していないという事なのかもしれないが、それでも最近LGBTなどの言葉が世間に認知され始め、少しずつ世の中は多様性を受け入れる方向へ動いていると感じている。やがてインターセックスの人々がもっとオープンに自由に生きられる日が来ればいいと感じた。
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