オススメ度 ★★★★☆ 4/5
近所の図書館を訪れたことによって人生が動き出す5人の男女を描く。
本書は5人の男女を描いている。ちょっとしたきっかけから近所の公民館を訪れ、そこで出会った司書に本を勧められたことで、人生が少しずつ動き出すのである。どの人生にも印象的なシーンはあったが、個人的に好きなシーンは35歳の諒(りょう)の章、40歳なつみの章、30歳浩哉の章の次の箇所である。
もう動き出しているじゃないの、私が行けと言ったわけじゃない。あなたがあの店に気がついたんだよ。自分で決めて自分の足で…すでに始まってるよ
独身の人が結婚してる人をいいなあって思って、結婚してる人がこどものいる人をいいなあって思って。そして子供のいる人が、独身の人をいいなあって思うの。ぐるぐる回るメリーゴーランド。…それぞれが目の前にいる人のおしりだけ追いかけて、先頭もビリもないの。つまり、幸せに優劣も完成形もないってことよ。
俺の小さなひとことを、そこまで大事にしてくれてたなんて。
人に影響を与えられる本書の司書小町さゆりのような生き方は素敵だと思った。また、どの話にも言えることだが気の持ち方で人生はいくらでも好転させることができると改めて感じた。そして、なによりそのことを物語にして広めることをしているこの本とこの作家が素晴らしいと思った。
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