オススメ度 ★★★★☆ 4/5
カナダの長閑な田舎町Three Pinesで、町の知り合いの間で開かれた交霊会の最中に女性が亡くなった。Armand GamacheはBeauvoirとNicholなどとともに真相の究明に乗り出すのである。
三作目であるが、前二作と同様にThree Pinesで起こった事件を扱う。今回亡くなったのはMadeleineという町中の人から好かれていた女性で、誰からも好かれる女性だったからこそその殺人の動機が事件解決のカギとなる。そして、今回もThree Pinesの人々の魅力は健在である。詩人のRuth Zardoは見つけた卵から鳥の雛を孵化させる。画家のClaraは夫のPeterの助けを借りて、自らの作品作りに悩む。そんななか、本を愛する黒人女性Myrnaの人間関係をするどく指摘した言葉が深く印象的である。
Attachment masquerades as Love, Pity as Compassion and Indifferences ad Equanimity.
依存は愛を装い、憐れみは思いやりを装い、無関心は冷静さを装う。
依存は愛を装い、憐れみは思いやりを装い、無関心は冷静さを装う。
また、事件解決と並行して、前二作品でGamacheの過去の大きな出来事としてほのめかされてきた、Gamacheが警察内部の不正を明らかにしたArnot事件の全貌が、Beauvoirの口から語られることで明らかになっていく。
今まで名前としてしか存在してなかった登場人物のGamacheと一緒に働く理由や、Gamacheの過去を不安に思っている様子が描かれ、個性を際立たせてくる回である。せっかく個性が立ってきた登場人物を忘れないうちに続編を楽しみたい。