「まだ「会社」にいるの? 「独立前夜」にしておきたいこと」」山口揚平

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
数々の企業再生に関わったあとに独立・起業したした著者が、会社を辞めて独立する際の心構えを語る。

文字とスペースが大きく、明らかに内容が薄い本で必死にページ数を稼いでいるという印象である。順序立てて書いているわけでもなく、思いついたことをただひたすら見出しをつけて書き綴っている。 唯一印象的だったのは、メンターと、自分がメンターする相手を持つ、メンターラインおよび技術についての師匠と弟子を持つ、マスターラインという二つの人間関係の軸を持つことを重視している点である。もちろん、分野によっては自分にあった師匠やメンターを、および弟子や後輩を持つことは難しいこともあるだろうが、そんな機会がないか探してみたいと思った。

なぜ、この本にたどり着いたかはもはや覚えていないが、自分のようにすでに複数回転職をして、楽しめる仕事を毎日している人間が読む本ではないと感じた。会社を辞めたいと思っているが辞められない人に、ひょっとしたら多少背中を押すような内容になっているのかもしれない。

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「一流のランナーは必ずやっている!最高のランニングケア」佐藤基之

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
さまざまなストレッチや筋トレの方法を、ランニングで痛みが発生しやすい場所に応じて書いている。

僕自身も長く膝の外側の痛みに悩まされてランニングできない期間があったので、同じことを繰り返さないようにと、体のケアに関心が高まっており、そんななか本書に出会った。

なにより故障の発生しやすい場所別にストレッチや筋トレ方法を紹介している点がありがたい。早速、膝の痛みの解決策として紹介されているストレッチを取り入れたいと思った。

また、現在は特に痛みがなくても、長くマラソンを続けるとこんな痛みが発生する可能性がある、ということを知るきっかけにもなった。膝以外に痛みが出た際には改めて本書に戻ってきたいと思った。

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「1日10分も走れなかった私がフルマラソンで3時間切るためにしたこと」鈴木莉紗

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
マラソンで3時間を切るための練習メニューを説明している。

様々なマラソン練習関連の本を読んでいる中で本書に出会った。 著者の練習メニューは、距離走、ミドル走、ペース走、インターバル走の4つのポイント練習を軸としており、距離走は長くゆっくり走るLSDではなく、レースペースに対してキロ15秒から30秒遅いペースとしている。

LSDについては人によって意見が分かれるところであるが、本書ではフォームが崩れてしまうという懸念から、ゆっくり過ぎるペースで走る練習は推奨していない。 参考までにサブ3.5を狙う人向けのそれぞれのメニューは次のようになっている。

  • 距離走(20km〜30km) 5分13秒〜28秒/km 月1〜2回
  • ミドル走(15km〜20km) 5分03秒〜21秒/km 週1回
  • ペース走(5kmまたは10km) 4分20秒〜23秒/km 3週間に1回
  • インターバル走 1000m×3〜5本 4分15秒以内 2週間に1回

部分的にでも取り入れてみたいと思った。 ランニングメニューの他にも、スポーツ未経験から社会人になってからマラソンを始めた著者ならではのエピソードや、女性向けのマラソンの悩みに答えたりなど、他のマラソン系の本にはない内容も含まれている。練習メニューは早速参考にしてみたいと思った。

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「ブレインメンタル強化大全」樺沢紫苑

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5

精神科医の著者が、睡眠、食事、運動の人生のおける重要性と、より良い睡眠、食事、運動の仕方を語る。

著者自身多くの本を読んでいるようで、それぞれについて様々な研究結果を引用している。どこかで聞いたような話や、別の本で読んだ話も多く、「〜のようだ」「〜の研究もあります」など、自分自身は読んだだけで実験したわけでもなく、ただ著者自身が気に入った情報を切り貼りしただけという印象が拭えない。

著者自身かなりの健康マニアだということがひしひしと伝わってくるが、人間何かを信じ始めると欲しい情報ばかりが見えてくるもの。そんな傾向を警戒した上で、話半分に本書を読むのがちょうどいいかもしれない。

参考文献が末尾にしっかり書かれているので、興味を持った分野はオリジナルの本を読むのがいいだろう。

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「レンジ 知識の「幅」が最強の武器になる」デイビッド・エプスタイン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

世の中には早くから専門分野を決めてその分野で一流になった人と、いろんな分野を試してから一つの分野にたどり着き遅咲きながら一流になる人がいる。どちらのタイプが今後必要とされ、親として子供を育てる場合どちらのタイプを目指すべきなのか、様々な事象から語る。

本書で語っているのは、個人でも組織でも専門に特化することで起こりうる危険性である。様々な分野が確立され、その分野で研究し議論しその分野のなかで考えることに慣れて過ぎてしまうことで、別の視点に立てば簡単に解決することができるの気付かない、ということが起こるのである。 著者は、専門家と多様な知識を持った人間のバランスこそが、新しい分野を切り開いたり、これまで未解決な問題を解決するのに必要なのだという。

そして、インターネットによる誰でも情報に簡単にアクセスできるようになった今、専門家のニーズは以前より少なくなっていると語っている。

組織だけではなく、個人の技術やモチベーションについても同じことが言える。最近10000時間の法則などがあらゆる場所で語られており、それによって、早期教育への関心が高まっているが、本書の主張はそんな流れを考えすのに良いきっかけになるだろう。

早く分野を決めて取り組めば、たしかに人より先んじてリードすることはできるが、様々な分野を体験しないで決めた分野はモチベーションが保ちづらく、いろんな体験をしてからその分野に参加した人にやがて追い抜かれていくのである。

本書の魅力はその話を展開するなかで引き合いに出されるさまざまな話である。タイガーウッズとフェデラーに始まり、任天堂のゲームウォッチや、スペースシャトルチャレンジャーの話など、興味深い話があふれている。本書の語っている、知識の「幅」の重要性が理解できる人なら、そんな様々な実話や逸話もしっかりと楽しんで、自分の知識の「幅」の一部にしたいと感じるに違いない。

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「習慣が10割」吉井雅之

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
習慣の持つ力と、習慣の続け方を語る。

僕自身習慣化を得意としており、それによって自分のなりたい自分になれている気がするが、さらに精度を上げるヒントに出会えればと思い本書を手に取った。

序盤は習慣の重要性を語っており、世の中のすごい人たちは才能に恵まれたわけではなく、単に習慣を味方につけただけでそれは誰にでもできることだと語り、中盤以降は習慣をつくるための心がけについて語っている。

  • とにかく「ハードル」を下げる
  • ゲーム感覚でやる
  • 「仕組み」を作る

どれも習慣の得意な人はすでにやっていることだろうが、こうやって言葉として並べてみると、習慣化できない人の問題点が見えてくる。

また、面白いなと思ったのが本書で紹介している「クリアリング」という習慣で、自分の1日の行動を振り返る行為である。落ち込んだ日や、物事がうまくいってない時などは取り入れてみると面白いかもしれない。

メルマガやブログ、貯金など、若干考え方が古いなと感じる部分もあったが、その辺は著者がかなり年配な方のようなので仕方がないだろう。すでに習慣を実践できている人にとってはあまり学ぶ部分はないかもしれない。ただ、これから習慣をつくろうと本気で考えている人には、本書に大部分の習慣化に必要な考え方は書かれているので、きっと役に立つことだろう。

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「30キロ過ぎで一番速く走るマラソン サブ4・サブ3を達成する練習法」小出義雄

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
高橋尚子の指導者として有名な著者がその練習法を語る。

最近膝の調子が良く、また定期的にジョギングができるようになったので、そのジョギングの時間の密度を向上したく思い、マラソン関係の本を漁る中で本書にたどりついた。

本書は大きくサブ4向けとサブ3向けの練習メニューや考え方が書かれている。なかでも特徴的なのがすべての練習において後半にペースを上げることを重視している点である。サブ4は足づくりだけで達成できて、「心肺の強化」は必要ないとしている。練習はジョギング 、ビルドアップ、タイムトライアル、長く走るの4つの練習を繰り返し、基本的な考えは次の内容になる。

1.一週間に3日、足や心肺に負荷をかける練習日をつくる。残り4日のうち2日はジョギングで、2日は休み。
2.平日の練習時間はだいたい60分で。うち1日はポイント練習日にする。
3.土日はともにポイント練習日。うち1日は長い距離を走る。
4.3ヶ月のうち、最初の10週を通常練習、最後の3週を調整練習の期間とする。
5.通常練習の10週間は2週ごとに強度を強め、逆に調整練習の3週間は1週ごとに強度を弱める。

一方でサブ3を目標とした場合、インターバル走やペース走を含めた構成としてしており、次のような考え方で練習メニューを組むのを進めている。

1.一週間に3日、足や心肺に負荷をかける練習日をつくる。残り4日のうち3日はジョギングで、1日は休み。
2.平日でも、場合によっては練習時間が2時間ぐらいかかる日がある。
3.土日はともにポイント練習日。うち1日は長い距離を走る。
4.3ヶ月のうち、最初の10週を通常練習、最後の3週を調整練習の期間とする。
5.通常練習の10週間は2週ごとに強度を強め、逆に調整練習の3週間は1週ごとに強度を弱める。

最近いろんなところで議論が起きるLSDについては、著者はLSDという言葉は使っているが、単に長く走ることを指しており、一般的に言われるLSDのようにゆっくり走ることは意図していないようである。

具体的な練習メニューのほかに、オリンピックメダリストの有森裕子や高橋尚子とのエピソード、それ以外にも小出道場の練習生のレース完走記を紹介している点が面白い

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「How to Win Friends and Influence People」Dale Carnegie

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

人にどのように好意的な印象を与え、自分の求めている人間関係を作り出すのか、そんな方法について書いている。 なんといっても驚くのは、本書の初版が1937年に書かれているということ。その後の改定では、書かれている例などを時代の変化に合うように、また新たな年代の人にもわかりやすいように書き換えただけと言うこと。つまり、人間の本質は時代を経てもほとんど変化がないということである。しかし、人に怒りをぶつけたり嫉妬に狂って物事をまっすぐ考えられない人はいつの世の中にもたくさん存在するのである。

基本的にどのように人に好印象を与えるか、どのように自分の意見を相手が受け入れやすい形で伝えるか、という点が多く書かれている。 昨今コーチングなどの書籍も多く、ただ叱るだけでは何も解決しないことを認識している人も多いだろう。そんなわけで本書に書かれているすべてが新鮮だというわけではなかったが、ぜひ今後実践したいと思ったのが次の項目である。

Techniques in Handling people 人をうまく扱うには
3.Arouse in the other person an eager want. 相手の中に欲求を起こせ

Make People Like You 人に自分を好きにさせるには
2.Smaile 笑顔でいなさい。
6.Make the other person feel important and do it sincerely. 相手に自分が大事にされていると思わせ、それを誠実に行いなさい。

Win People to Your Way of Thinking 人に自分の考え方を伝えるには
5.Get the other person saying “yes, yes” immediately. まずは相手にはいと言わせなさい。
7.Let the other person feel that the idea is his or hers. 相手にそのアイデアは彼のものだと思わせなさい。
10.Appeal to the nobler motives. さらに崇高な目的のためだと主張しなさい。

Be a Leader リーダーになるためには
4.Ask questions instead of giving direct orders. 直接の命令をするのではなく、問いをなげかけなさい。

すべての考え方が新鮮だったわけではなかったが、本書には多数の歴史的事実が例として含まれており、それらはどれも面白く好奇心を刺激してくれた。こうして事実を話として聞くと、単にフレーズを聞くよりもはるかに記憶に残る。その点でも本書は評価が高いのだと感じた。時々読み返したいと思える一冊である。

「The Cruellest Month」Louise Penny

オススメ度 ★★★★☆ 4/5

カナダの長閑な田舎町Three Pinesで、町の知り合いの間で開かれた交霊会の最中に女性が亡くなった。Armand GamacheはBeauvoirとNicholなどとともに真相の究明に乗り出すのである。

三作目であるが、前二作と同様にThree Pinesで起こった事件を扱う。今回亡くなったのはMadeleineという町中の人から好かれていた女性で、誰からも好かれる女性だったからこそその殺人の動機が事件解決のカギとなる。そして、今回もThree Pinesの人々の魅力は健在である。詩人のRuth Zardoは見つけた卵から鳥の雛を孵化させる。画家のClaraは夫のPeterの助けを借りて、自らの作品作りに悩む。そんななか、本を愛する黒人女性Myrnaの人間関係をするどく指摘した言葉が深く印象的である。

Attachment masquerades as Love, Pity as Compassion and Indifferences ad Equanimity.
依存は愛を装い、憐れみは思いやりを装い、無関心は冷静さを装う。

また、事件解決と並行して、前二作品でGamacheの過去の大きな出来事としてほのめかされてきた、Gamacheが警察内部の不正を明らかにしたArnot事件の全貌が、Beauvoirの口から語られることで明らかになっていく。

今まで名前としてしか存在してなかった登場人物のGamacheと一緒に働く理由や、Gamacheの過去を不安に思っている様子が描かれ、個性を際立たせてくる回である。せっかく個性が立ってきた登場人物を忘れないうちに続編を楽しみたい。

「BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナー vs 人類最強の“走る民族”」クリストファー・マクドゥーガル

★★★★☆ 4/5
怪我に悩まされてきた著者が、メキシコの奥地に住む走る民族タラウマラ族を探しの旅に出たことをきっかけに、改めて走ることに魅了され歴史的なレースに巻き込まれていく様子を描く。

タラウマラ族という走ることを得意としながらも人前に出ることを嫌った民族の話。人間は走ることに向いているのかそれとも向いていないのか、ランニングシューズは人間の走る能力を向上させているのかそれともダメにしているのか、など、走ることに関連した様々なテーマを取り上げて説明していく。

そして同時に著者は、カバーヨ・ブランコという名の男に出会ったことで、若くて勢いに乗っている女性ランナーや、過去の伝説的なランナーなど、様々なランナーたちと出会い、やがて一つの歴史的なレースへと巻き込まれていくのである。

序盤は話が行ったり来たりして最初は本書の焦点がどこにあるのかわかりにくく、翻訳せいもあってお世辞にも読みやすくはない。しかし、流れがつかめてくると、本書が伝えようとしている、人間の進化と走ることの深い関わり合いや、走ることの魅力に魅了されるだろう。本書を読み終えたらきっとみんな広い大地を思いっきり走りたくなるに違いない。

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