オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
イギリスの町で少年Evanがラグビーの練習の帰り道、バス停で友人と別れたのを最後に行方がわからなくなる。
事件発生当初の家族や、友人たちの様子が生々しい、また、あわせて事件の発生から時間が経つとともに、世間や周囲の関心はより新しい事件や、自分たちの周囲の出来事に移っていき、少しずつ忘れられていく点も実際にありそうな話である。
物語は事件解決の謎解きの物語というよりも、息子の失踪によって苦しむEvanの両親ClaireとMattや祖父のJackとなど、家族の戸惑いや葛藤の様子をより鮮明に描いている点が新鮮である。また、警察のHagenやNaylorも限られて人員と絶え間なく発生する事件のために、Evanの発見に全力を傾けられないで苛立つ様子を描いている点も面白い。
また、物語の舞台がイギリスなので、イギリスの文化やイギリス英語特有の表現が多々出現する点が面白い。捜査官Naylorの様子は私生活や仕事場の恋愛模様も含めて描かれているので、ひょっとしたら著者の他の作品にも登場するのかもしれない。
しかし、残念ながら物語としてとりたてて強調するような面白さがあったわけではない。今後もこの著者の本を改めて手にとるかは怪しいところである。