オススメ度 ★★★★☆ 4/5
マイクロソフトで働いた経験を持つ著者が、日本の英語事情を嘆く。
そもそもほとんどの人が英語を使わない人生を送っているのに、なぜこれほど多くの日本人が英語を勉強し、英語学習に膨大なお金を支払っているのか、そんな日本の現状を著者は嘆く。
面白かったのはフランスの話。フランス人が英語を話さないのは有名な話だが、英語を話すことによって自分たちの文化が脅かされかねないという考えからくる行動だという話は印象的だった。また、発展途上国の人々が英語を話すのは他国に追いつくためだが、自分たちの文化がしっかり確立されていて、どちらかというと追いつかれる立場の日本の人々が英語を一生懸命勉強するのはばかげてい流という考えも面白い。そう考えると確かに日本人も「もっと英語を話せない」のではなく「英語は話さない」というスタンスもするべきかなと感じた。
また、社内公用語や英語スクール、早期英語教育をさんざんこき下ろすから面白い。「インターナショナルスクールを出て成功した人はいない」の章などは、子供の英語教育を考える1人の親として耳が痛い話である。
結局著者が言いたいのは、まずは核となる人間性や国民性を身に付けると同時に真の教養を身に付けることである。「本当の「学問」をしよう」と繰り返し、オススメの本を多数紹介している。誤解しないで欲しいのは、9割の日本人に英語は必要ないが、残りの1割は必要だと言っている点である。最後の章では著者の体験に基づく英語の勉強方法を説明している。
正直全体を通じて教養のための本だか英語の学習の本だかはっきりしないようないきあたりばったりな印象も受けたが、楽しく読ませてもらった。著者が紹介しているおすすめの本は早速読み進めていきたい。
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