オススメ度 ★★★★☆ 4/5
服屋を経営する曽根俊也(そねとしや)は、ある日父親の遺品のなかに不思議なテープを発見する、それは自分の子供の時の声が録音されたテープであり、30年前に世の中を騒がした犯罪に使われてものだった。テープの謎を解明するために父親の過去を調べ始める。
物語は2人の視点を交互に行き来する。一人は父親の遺品のなかに不思議なテープを発見した曽根俊也(そねとしや)、そしてもう一人は、上司から30年前の未解決事件を取材するように命じられた阿久津英士(あくつえいじ)である。本書では「ギン萬事件」という30年前の未解決事件の真相に近づこうとする2人を描いているが、実際の題材はグリコ森永事件である。
曽根俊也(そねとしや)は父の知り合いの協力をあおぎ少しずつ真相に近づくいっぽいで、阿久津英士(あくつえいじ)は各方面の関係者に取材していく。当時は口が硬かった人も、30年経って事件が時効を迎えたために、新たな真実が見えてくる。
本書では犯人の描写まで描かれておりその点はもちろんフィクションであるが、それに至る経緯は実際のグリコ森永事件に忠実に描いている。僕自身小学生でうっすらとした記憶しかないグリコ森永事件に改めて関心を抱かせてくれた。小説というフィクションでありながらも、一つの時代を作った大きな出来事を新たな視点で教えてくれるまさに優れたフィクションと言える。
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