「After I Do」Taylor Jenkins Reid

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
学生時代に出会いそのまま結婚し数年が経ったLaurenとRyanは結婚生活がうまくいかないことに気づき1年間別々に過ごすことを決意する。

LaurenにはRachelという妹とCharlieという弟がおり、Laurenの良き家族として、その結婚生活を修復しようと努めるのである。やがて、LaurenはRyanのいない寂しさを乗り越え、新たな生き方を初めていく。そして、そんななか、自分たちは本当に結婚生活を続ける意味があるのか考え始めるのである。

そしてそんななか、弟のCharlieなどLaurenの家族にも大きな変化が訪れる。すでに夫を失って長いLaurenの祖母が語る言葉が重い。

Just because you can live without someone doesn’t mean you want to.
誰かがいなくても生きられるからといって、一人で生きたいわけではないのよ。

最初は軽いラブコメディかと思ったが、読み進めるうちに人間関係を続ける上での学びが詰まっていることに気づかされる。

Why is it only the verge of losing something that we se how much we need it?
どうして失う間際まで私たちは大切なものの重要性に気づかないのだろう?

It’s OK to hurt my feelings. It’s OK to embarrass me. As long as you do it from love.
僕を傷つけても大丈夫。僕を辱めても大丈夫。それが愛からくるものであれば。

All the matters in this life is that you try. All that matters is that you open your heart, give everything you have, and keep trying.
人生に大事なのは挑戦すること。心を開いて、全力で努力し続けること。

著者の有名な本は他にもたくさんあるようなのでぜひ読んでみたい。

英語の難易度としてはかなり簡単な域に入ると思う。結婚式の表現(best manやbaby shower)など、知らなかった表現をいくつか学ぶことができた。

「深い河」遠藤周作

「深い河」遠藤周作
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
様々な過去を抱えた人々がインドへ向かう。そんな人々の様子を描く。

生まれ変わるという妻の最期の言葉を信じる磯部(いそべ)、また人を愛することのできない美津子(みつこ)などがそれぞれがそれぞれの目的を持ってインド旅行で一緒になる。やがて一行はインドの文化やガンジス川に対する人々の様子に心を奪われる。あるものはそれに感動し、あるものはその文化を軽蔑するのである。

それぞれの人々の視点を移り変わりながら物語は進むので、誰が絶対的に主人公ということはないが、印象に残ったのは人を愛することができず打算的に生きてきながらも、キリスト教に傾倒していく友人の津川(つがわ)が気になってしかたがない美津子(みつこ)である。美津子(みつこ)の心にやがて少しずつ変化起きるのである。

遠藤周作作品は常にそのテーマにキリスト教が絡んでくるが本書では若干少なく、遠藤周作の代表作として期待値が高かっただけに、終わり方も含めて物足りなさを感じた。

【楽天ブックス】「深い河」

「マチネの終わりに」平野啓一郎

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
クラシックギタリスト蒔野聡史(まきのさとし)とジャーナリスト小峰洋子(こみねようこ)はあるコンサートをきかっけに出会い恋に落ちていく。そんな40代の恋愛を描く。

40代の男女を描くと言う恋愛物語としてはやや年配の人間を主人公としているが、恋愛の始まりの初期に起こりがちなすれ違いや、相手の想いを想像して悩む葛藤が起きることに年齢による違いはないようで、本書でもそんな蒔野(まきの)と洋子(ようこ)の思い悩む様子がそれぞれの視点から描かれている。

また、蒔野(まきの)がクラシックのギタリストであることから、さまざまな曲名や作曲者名が登場するのとあわせて、音楽で生計を立てていく人々の悩みもみて取れる。同じように洋子(ようこ)もバグダッドに赴任する国際ジャーナリストであることから、厳しい戦場の様子が描かれる。

お互いを想いつつ、自らのキャリアや仕事の都合などのさまざまな要因がからんでなかなか会ったり想いを伝えることができない、そんなすれ違いが続いていくのである。そんななか物語の根底には「未来だけでなく過去も変えられる」というテーマがある。

人は、変えらえるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。

印象的なのは洋子(ようこ)が幼い頃一緒に住むことのできなかった父親と再開し別々に生きた理由を訪ねるシーンである。

だから、今よ、間違ってなかったって言えるのは。…今、この瞬間。私の過去を変えてくれた今。…

音楽や戦争に関する描写だけでなく感情表現の細かさなど、ありがちな恋愛小説を、深いテーマを込めてを大きくレベルアップさせた一冊。

【楽天ブックス】「マチネの終わりに」

「キミが働く理由」福島正伸

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
働くことの意味がわからずに、新卒で就職した会社をすぐに退職し、その後さまざまな事業に挑戦した著者が働くことの意味を語る。

働くこのに楽しみを見出せない人向けなのだろう。僕自身今の仕事に不満を持っているわけではないが、何かしら生き方の参考になればと思い手に取った。

著者の経験から25項目の働く上での秘訣を書いているが、もちろんすべての人に必ずしもあてはまるわけではないだろう。また、楽しく幸せに生きるための心構えはすでに多くの人が語っており、本書で言っていることもかなり重複する部分があった。そんななか印象に残った項目を挙げると次の3つである。

お父さんが、「今日も仕事が楽しかったな。明日、仕事に行けると思うと、興奮しちゃうな」と言うと、子どもさんは勉強し始めるのです。
朝起きて人を励ますと、自分が元気になります。朝会社に行ったら、まず元気のない人を探しましょう。そして、その人を励ますのです。
悩んだ時はどうしたらいいかといったら、私は人に会うことだと思います。特に自分が目指している人に会うことです。

特にものすごい印象に残ったと言うわけではないが、生き方、働き方の参考の一冊として読むのは悪くないだろう。

【楽天ブックス】「キミが働く理由」

「星を継ぐもの」ジェイムズ・P・ホーガン

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
月面で宇宙服をきた死体が発見された。
その人物は5万年前に死亡しているという。あらゆる分野の専門家達が集まってその真実を解明しようとする。

本書はハントというイギリス人の研究者を中心に物語が進む。理由もわからずアメリカに呼び出されたハントはやがて、チャーリーと呼ばれた種族の死体が発見されたことを知るのである。月で発見されたということからルナニアンと名付けられ、ハントを含む多くの専門家達の知識を結集して、その体や持ち物を分析することで少しずつ今までわからなかった真実が見えてくるのである。

物語はもちろんフィクションであるが、SFというどこか遠い世界の非現実的になりがちな物語を、月という身近な星を舞台で展開する物語で、身近に感じさせてくれる。さらに、科学的な説明や描写によって現実感を伴って描かれており、実際にこのようなことが本当に起こりえるかも、と思わせる面白さがある。

すでに発行は40年以上前の本だが、今でも十分に楽しむことができる。

【楽天ブックス】「星を継ぐもの」

「Dark Places」Gillian Flynn

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
1985年3人の姉妹と長男のBen、母親のPattyで牧場を営む家庭が一夜にして3人が惨殺され、兄のBenが犯人として逮捕される。二重数年後の現在、唯一生き残ったLibbyは再び真実に向き合うことになる。

物語はLibbyが意を決して刑務所の兄Benと会うことから始まる。兄Benと会うことで兄の無実を確信し、当時の関係者に話を聞くことで真実に近づいていく。兄Benでなければ、父Runnerなのか、それともBenと恋人の仲に怒り狂った恋人の父親なのか。物語は真実を探ろうとするLibbyの視点と、事件が起こった1985年の7月の、兄Benと母Pattyの様子を描いている。

現在の物語では少しずつLibbyが真実に近づいていき、一方で、1985年の物語では、兄Ben、母Pattyがそれぞれ悩みを抱えながらXデーの夜へと近づいていくのである。携帯電話もインターネットもない時代の、カンザスシティの田舎町で過ごすBenを含む学生たちの様子や、シングルマザーとして牧場を経営しながら4人の子供達を育てる母親の悩みが見えてくる。

無力ながらも母として、どのように子供達を信じ、守るのが正しいのか、そんなことを考えさせられる内容である。

「会議でスマートに見せる100の方法」サラ・クーパー

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
会議でスマートに見せる方法をイラストとともに面白おかしく紹介している。

過去たくさん会議に出たことのある人ならどれもみたことのある行動ばかりだろう。

自分がやってみたい、と思うような行動はそんなになかったが(それをやっても会議が無駄に長引くだけなので)、本書を読んで置くと、誰かがこの行動をやっているときに圧倒されないで済むのかもしれない。(「ああ、この人はスマートに見せる方法をやっているだけだな・・・」と。)

特に印象に残ったのは次の3つ。

それがなんであれ「スケールする?」と聞く
「いい質問だ」と言って質問に答えない
「それは正しい質問かな?」と逆質問する。

ただのウケ狙いにしかならないかもしれないが、機会があったら使ってみたい。

【楽天ブックス】「会議でスマートに見せる100の方法」