オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
第161回芥川賞受賞作品。
近所で「むらさきのスカートの女」として有名な女性がいる。そんなむらさきのスカートの女と友達になりたい女性、自称「黄色いカーディガンの女」がむらさきのスカートを観察していく様子を描く。
むらさきのスカートの女が、黄色いカーディガンの女と同じホテルの清掃員としてアルバイトを始めたことで、少しずつその正体が明らかになっていく。むしろ本書の面白さは、むらさきのスカートをひたすら追い続ける黄色いカーディガンの女のほうだろう。2人はこうして同じ職場で働くのだが、2人の背景は女性であることと、あまり裕福でないことしかわからない。なぜ彼女が、そこまでむらさきのスカートの女を追い続ける時間的余裕があるのか。むらさきのスカートの女が少しずつ正体が明らかになるにつれ、実は普通の賢い女性であることがわかることによる、反対に黄色いカーディガンの女の異様さが少しずつ目立ってくるのかもしれない。
終盤に向かうにつれ、むらさきのスカートの女の職場の人たちとの人間関係が少しずつ悪化していき、黄色いカーディガンの女もそこに大きく関わることとなる。
ひょっとしたら読み解けていないテーマがあったのかもしれないが、自分にはそれが見えていない気がする。芥川賞受賞作品ということで何かもっと深い、異なる解釈があるのかもしれない。
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