「朝が来る」辻村深月

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
40を過ぎて一人の子供を育てる栗原清和(くりはらきよかず)、佐都子(さとこ)夫妻はときには近所づきあいでトラブルをかかえながらも幸せな生活を送っていた。そこにある日「子供を返して欲しい」と連絡が入る。

序盤は子育てと近所づきあいで悩む一般的な家庭の夫婦の物語だったが、一本の電話によって、実は子供の朝斗(あさと)は特別養子縁組によって授かった子供だと言うことが明らかになる。中盤以降は、栗原清和(くりはらきよかず)と佐都子(さとこ)が子供を切望して、朝斗(あさと)を授かるまでを描いいる。

そして、後半は、朝斗(あさと)をお腹に宿して、養子に出すと言う決断をするまでの母ひかりの様子が描かれている。子供のためを思いながらも、無力なひかりにできることは限られていて、少しずつ子供に誇りを持って向き合うことのできない大人になっていくひかりの様子がもっとも印象的である。一方で、そのような一般的には世の中から軽蔑されがちな立場にいる女性の
描写の仕方に、著者のやさしさを感じる。

あまり似た作品を思いつかない、一読の価値ありの一冊である。

【楽天ブックス】「朝が来る」

投稿者: masatos7

都内でUI / UXデザイナー。ロゴデザイナーをしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。