オススメ度 ★★★★☆ 4/5
第27回(2014年)山本周五郎賞受賞、2015年このミステリーがすごい!国内編第1位作品。
6つの物語を集めた短編集。短編集とはいえどれも非常に質の高い物語が集まっている。最初の物語の「夜警」は殉職した警察官の話。彼はあまり警察官に向いていなかったが、その日、酔った犯人に発砲すると同時にその犯人に刺されて亡くなったのである。しかし、彼の性格やその日の様子を詳細に振り返ってみるとその裏に隠された意図が見えてくるのである。
3番目の「万灯」の物語も印象的である。プロジェクトでバングラディシュに派遣された男性は、そこでのプロジェクトの完遂のために、ある村に拠点を築く必要がある。しかしその村の権力者達は、それに反対する一人の権力者を殺すことを条件にそれを受け入れる提案をするのである。彼は仕事のためにそれを受け入れるのだが、それはやがてさらなる問題を生むことになるのである。
上記の2つ意外もどれもずっしりと印象に残る物語ばかり。著者米澤穂信は軽いミステリーを描くという印象を持っていたが、ここ最近の作品からは、雰囲気作りなど非常に優れた小説家になってきたということに驚かされる。
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