オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
警察官の夏実(なつみ)は救助犬のメイとともに南アルプス山岳救助隊に参加することとなる。夏実(なつみ)とメイが仲間達と一緒に、人命救助に奔走する様子を描く。
序盤は少しずつ夏実(なつみ)が南アルプスの救助に慣れていく様子や、仲間と打ち解けていく様子が描かれる。興味深いのは、夏実(なつみ)が共感覚の持ち主ということ。つまり、夏実(なつみ)は人の感情を色としてみることができるのである。その能力によって夏実(なつみ)は救助犬メイと心を通わせることができるが、一方で、友人や同僚にはその能力を隠しているために生きづらさを感じるのだ。
同じ救助隊のメンバーも個性的な人で構成されている。同じ女性隊員で完璧主義者の静奈(せいな)は夏実(なつみ)の存在を好意的に受け入れようとしない、また、深町(ふかまち)は過去の出来事によってすでに辞める事を決めている。それでも全員で協力していくうちに人命救助を繰り返していくのである。そして、物語後半はある有名な政治家が山に登ることからいろいろな人を巻き込んだ大きな出来事へと発展していく。
「ドッグテールズ」という短編集が期待以上に良かったため、こちらの長編はもっと期待してしまった。期待値が高すぎたせいでややがっかりした部分もあるが、信頼し合った動物と人間の感動的な物語である。
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