「ワールド・カフェをやろう! 会話がつながり、世界がつながる」香取一昭、大川恒

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ワールド・カフェの効用とその方法について説明する。
ワールド・カフェという言葉を知ったのは本当に最近のことである。会社で毎日繰り返されるミーティングのように、人々が協力して物事の解決策や新しいアイデアを生み出すというのは多くの場所で行われていることではあるが、残念ながらそれはなかなか旨く機能しない。多くの場合、上司や部下がいて、立場を気にしたり、同じ職場やコミュニティの人間が集まっていて最初から考え方に偏りがあったりするからである。ワールド・カフェというシステムはそれにたいする一つの解決策とも言える。
本書はそんなワールド・カフェの手法とそれぞれの参加者が意識すべき考え方が説明されている。ワールドカフェで行うべきなのは「ディスカッション」ではなく「ダイアログ」である、とする点が印象的である。この考え方は、世の中の多くの企業で行われているミーティングなどでも取り入れられるべきだと感じた。「ディスカッション」と「ダイアログ」の違いのいくつかを挙げると次のようなものだ。

ディスカッション
正しい答えがあるはずだ。それは自分の答えだ
目的は議論に勝つこと
相手の立場を批判する
相手の欠点と弱点を探す

ダイアログ
誰もが良いアイデアを持っているはずだ。それらをもちよれば、良い解決案が見いだせるだろう
目的は共通の基盤を探すこと
すべての立場の再評価
相手の強さと価値を探す

ワールド・カフェそのもの運営に興味がなくても、本書は話し合いに対する考え方に新たな視点をもたらせてくれるだろう。
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