オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
ジークフリートという英雄の名前はずいぶん前からよく耳にしていた。名前が一人歩きするぐらい有名な物語なのに読んだ事がないものというのは結構あって、ハムレットやロミオとジュリエットなんかも同じであるが、今回はこの「ニーベルンゲンの歌」を選んだ。
おそらく翻訳者の技術や哲学によって、読みやすさは変わってくることもあるだろうが、現代の若い著者によって書かれているような読者を引き込む面白さを求める物ではないのだろう。ある程度は平坦な物語を我慢する覚悟が必要である。
本書は上巻、下巻それぞれに「ジークフリートの暗殺」「クリームヒルトの復讐」という副題がついているとおり、上巻は英雄ジークフリートの活躍と、暗殺されるまでの物語。そして後半はジークフリートの妻クリームヒルトが復讐を遂げるまでの物語である。
本書を読んでようやく一人歩きしていたジークフリートという名前が人格を持った英雄になった気がする。強く本書をオススメするということはないが、読み損ねた名作は誰にでもきっとあることだろう。
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