「数学ガール フェルマーの最終定理」結城浩

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
数学な好きな「僕」は従姉妹の女の子ユーリ、学校の後輩のテトラ、そして数学がずば抜けて得意な才女ミルカさんと、数学の先生の村木先生が出してくれる問題をもとに数学の話を繰り広げる。
過去フェルマーの最終定理に関する本を何度かトライしてみたが、どれも残念ながら大して理解することもできずに諦めてしまった。しかし本書は「フェルマーの最終定理」とサブタイトルを持ちながらも序盤は、本当に簡単な数学の知識だけで楽しめる内容で構成されている。
例えば

原点中心の単位円周上に、有理点は無数に存在するか。
aとbが偶数の原始ピタゴラス数(a,b,c)は無数に存在するか。

などである。それぞれの証明をしっかり理解しながらついていくのはやや根気がいるし、時間もかかるが、最初はまったく違う証明だと思っていたものが、実は本質的に同じ問題だったと気づく瞬間の、その驚きは伝わってくるかもしれない。きっとそんな驚きが多くの数学者たちを数学の世界にひきこんでいったのだろう。
終盤ではついにフェルマーの最終定理に話が及ぶ。とはいっても、本書で触れているのは本当にそのさわりの部分だけ。フェルマーの最終定理の証明の鍵となる谷山・志村予想やモジュラー。結局本書を読んだ後もやはりそれらの詳細は分からないままだが、読む前よりもその感覚的な部分がつかめた気がする。
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