「ダイナー」平山夢明

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
大藪春彦賞受賞作品。
退屈な人生に嫌気がさし、ちょっと魔が差した末に殺されかけて、最終的に、殺し屋が集まる会員制のダイナーでウェイトレスをすることなったオオバカナコ。下手な事をしたらその場で殺されかねない日々を送り始める。
設定が設定なだけにそのレストランで起きること、そこを訪れる人、いずれも小説だからこそできるような残酷さ、醜悪さを持っている。したがって、物語自体は非常に現実離れしたものになっている。
しかし、ダイナーを訪れる殺し屋たちも、もちろんなんの理由もなく殺し屋になったわけではなく、物語中で語られるその「殺し屋になったきっかけ」は、まだ「正常な生活」の範囲にいる僕らが見ないようにしている現実世界の暗い部分を見せつけてくれるようだ。今の状況を放っておいたらこんなことにもなるかもよ、こんな人が生まれるかもよ、と。
そんななかで、オオバカナコはコックであるボンベロとその飼い犬でこれまた殺し屋の菊千代とダイナーを切り盛りしていくのだが、少しずつ過去のつらい経験が明らかになっていく。
なにか訴えるものが感じられるかもしれない。
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