オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
主婦として生活していたみどりは、一人娘で産婦人科医の曾根崎理恵(そねざきりえ)から、理恵(りえ)の娘を代理母として産んで欲しい、と頼まれる。みどりは、理恵自身が出産できないのは、そういう体に産んだ自分のせい、と引き受けることにする。
本作品も海堂尊(かいどうたける)が描く世界と繋がっている。時間と場所は同じく産婦人科医を描いた「ジーンワルツ」と重なり、前でも後ろでもなく、その時間を理恵(りえ)の母、みどりの目線で見つめているようだ。
本作品では、代理母を引き受けた母、みどりと、自身が子供を産めないがゆえに母親に代理母を依頼した理恵(りえ)とのやりとりが繰り返される。
子供を産むという行為を、自身が産婦人科医ゆえなのか、先端医療として淡々とすすめる理恵(りえ)と、理恵(りえ)のそんなふるまいに、母親としての何かがかけているのではないか、と不安がるみどり。そんな2人の考え方の違いがテーマと言えるだろう。
そして、そんな母娘の間で交わされる会話のいくつかは今の医療の問題をあらわしている。例えば子供の母親は卵子提供者なのか、それとも分娩者なのか、という問題もその一つであり、本物語では、母、みどりが娘の振る舞いに不安をもって、自らが母親であることを主張しようとすることからそんな時代遅れの法律に踏み込んでいく。
物語として非常に面白いとかいうものではないが、いろいろ考えさせてくれる内容である。
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