「夢の中まで左足」名波浩

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
好きなサッカー選手はいつでも僕の頭のなかにはいて、名波は大学時代から社会人になりたてのころ、常に僕のなかのそのポジションにいた。
本書では、名波が、過去の試合や経験を、過去のチームメイトなどと振り返って語る。左足にこだわりにこだわって、日本代表やジュビロの一時代を築いた彼の、サッカー観に触れることができるだろう。
本書はいくつかの章に分けることができる。前半の藤田俊哉との章では、名波と藤田という、高校からジュビロ、と、20年も一緒にプレーをしてきたからこそ語られる思い出や意見が描かれている。

オレが走れば、パスが出るに決まっている。名波は見ているに決まっている。どうしてパスが出るかなんて、考えたこともない

こんなのを読んでしまうと、そんな2人の関係に嫉妬してしまう。そしてまた、会話の節々から名波のパスに対するこだわりの深さを知るだろう。

受け手が「完璧だ」言っているというのに、しかしコンビは不満顔である。
─完璧なパスではなかったかと。
いや、違う。最後に詰めてきたDFが、少しだけボールにかすっている。DFに触れられない、でも、FWが早くダイレクトを打てる地点は、もう少し手前だったことになる。ボール半転がし手前ならば、触れられることなく入ったと思う。

そして後半では、山口素弘(やまぐちもとひろ)と共に、フランスワールドカップの日本代表を語る。

よく、若い選手が、アイツとは息が合うんですよ、と言っているのを聞くけれど、聞きながらいつもこう思うんだ。それでもあのときのオレたちほどじゃないだろう、って。少なくてもオレはそう思っていた。

その後の、Mr.Childrenの桜井和寿を交えて、サッカーと音楽のその創造性の部分に共通点を見出して語るシーンも悪くない。
あ?、やっぱりサッカーがしたいな。フットサルも楽しいけどサッカーがしたい。見なくても「お前はここにいるんんだろう・・・ほら」って、パスを出したい。
きっと読んだらみんな同じ様なことを思うだろう。

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