オススメ度 ★★★★☆ 4/5
自衛隊について、その技術のすばらしさ、そこに勤める自衛隊員の質の良さ、そして北朝鮮、中国、韓国などの近隣諸国の脅威、などあらゆる面から自衛隊を描く。
筆者の根底にある考え方は一貫していて、日本の自衛隊のすばらしさ、軍備を増強し続けて脅威となりつつある近隣諸国への備えの必要性、そして、それを知らずにいる日本の政治家への懸念である。だから、若干本書で書かれている内容には偏りがあるという認識で読むのが適切なのかもしれない。
個人的には、イラクへの自衛隊派遣に触れている第8章が印象的である。4000人を超える犠牲者を出しているアメリカ軍に対して、なぜ自衛隊は一人の死傷者も出さずに済んだのか。それは、僕らが誇るべき空気や人の気持ちを読む日本の文化があったからこそである。つい自衛隊に入って「こんなすばらしい仕事をしてみたい」と思ってしまう
そもそも自衛隊とは存在自体が矛盾にあふれている。本書でも、自衛隊の発足の定義と、憲法の拡大解釈についてふれている。そんな自衛隊の過去の経緯が、現状の自衛隊に対する世の中の見方を説明している。日本では一般的に「防衛費は削る」「武器を捨てる」ということが「正しいこと」と認識されており、それゆえに現状を知らない政治家が、イラク派遣部隊の武器の数で議論するなどということが起きるのである。
メディアを通じて僕らの目に入ってくる自衛隊の情報が、どこまでゆがめられ、どこまで多くの思惑が絡んでいるか、ということがわかるだろう。そんな政治的な話を抜きにしても、序盤で触れている最新鋭の兵器の話などでも十分楽しめるのは、やはり僕が男だからだろうか。
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