オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
Lincoln Rhymeは犯罪学者であり、法医学のスペシャリストである。事故によって体が不自由になったことで一線を退いたRhymeにニューヨーク市警から協力の依頼が来る。Rhymeはパートナーとして先入観を持っていない女性警察官Amelia Sachsを選ぶ。
数年前にハリウッドで映画化された物語の原作である。犯罪現場に残された塵や埃から、犯人を追い詰めていく展開は、世の中に数ある警察小説と大きく異なる部分である。身体を動かして実際に犯罪現場に趣くことのできないRhymeはAmeliaに指示して、証拠を回収させる。Ameliaは証拠の回収を重視するゆえに被害者の感情を考えないRhymeの指示に反感を覚えながらも、次第にそのやり方と重要性を理解し始める。
物語全体ではわずか数日という期間を描いたものでありながらも、その短い期間に互いの信頼を深めていくRhymeとAmeliaのやりとりが面白い。そうやって2人で協力して犯人を追い詰めていく一方で、もう一つ物語に不思議な魅力を与えているのは、Rhymeが身体の不自由を失ったがゆえに希望を失い、常に死にたがっている点だろう。そして、身体が不自由なゆえに、死ぬことすら人の手を借りなければできないのである。
死にたいと思ったことはあっても、Rhymeには死んでほしくないAmeliaと、Ameliaの思いを理解しながらもそれでも死にたいと考えるRhymeが言い合うやりとりが本作品の山場の一つといえるだろう。
映画の記憶がかなり薄れていたせいで十分に楽しむことができた。ただ、スラングがたくさん含まれているので、過去に読んだ英語の本に比べてやや難易度が高かったか。