オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ここ数年医療訴訟という言葉が周知のものとなった。本作品はどうして医療訴訟がここまで一般的なものとなったのか、どうしてここまで医師と患者との信頼関係は崩れていったのか、ということを、僕らがなじみのある医療系ドラマを例に挙げて開設している。
「白い巨塔」「医龍」「ブラックジャックによろしく」「ER」など、多くの人がおそらく、ドラマには当然かなりの誇張が入っているものとして見ているだろう。しかし、その逆もある。つまり、これが真実なんだ、とドラマを通して、それが誤っているにも関わらず受け入れてしまっていることもあるのだ。それはドラマ事態の描き方に大きく影響される。本作品はそういう部分を多々指摘している。
面白かったのは筆者が僕らの描く名医の条件としていくつかの項目を挙げている点である。
なんとも納得のいく。これにあてはまる医療ドラマの中の主人公たちが何人も思い浮かぶ。
そんな面白さも交えつつ、医療の現状の問題点とその原因を訴えてくる。その根底にあるのは、「患者の側はもっと医療は完璧ではなりえないという事実を受け入れるべき」ということである。
「専門外で力及ばず」で失敗したら訴えられるのに、じゃあ、力が及ばないと思ったから断ったら「患者を診るのが医者の使命!」といわれる…。「じゃあ、どうしたらいいの?」という医者たちの嘆きが聞こえてくるようだ。
僕ら患者の側が知っておくべきことをなんとも見事に伝えてくれた。
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