オススメ度 ★★★★☆ 4/5
GCS幼児教育センターのGC理論は、幼児期の教育が天才を作り出すというもの。過去の何人もの子供たちにその教育を受けさせてきた。野上雄貴(のがみゆうき)も過去、その教育を受けた一人。そんな彼が今回GCS幼児教育センターに社員として迎えられようとしている。どんな意図が働いているのか。
「胎教」も含めて、幼い頃の教育方法は多くの人の関心の向くところである。本作品では、幼い頃の環境の作り方が多くの知識や考え方を詰め込むのに適した、容量の大きい脳を形成するという考え方を、「CG理論」として挙げており、その教育によって成長した子どもたちと、その周辺の大人たちの様子を描いている。
多くの人が心の奥ではすでに理解している。必ずしも数学や教科ができて、
多くの知識を持っていることが必ずしも「幸せ」に繋がることではないと。だからこそ、本作品の登場人物たちは、その葛藤に苦しめられる。そんな倫理的な側面に加えて、もちろん本編のほうもしっかり楽しませてくれる。
何度も真実の裏に本当の真実が見えてくる。意表をつく展開の本など何度も読んで慣れていると自負している僕でも、「やってくれる」と思わせてくれる展開で、一方でそういう意表をつく展開の物語には、読者の予想を裏切ろうと努めるがあまり内容が希薄になるのだが、本作品はそんなことはなく満足できる一冊だった。
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