「警察庁から来た男」佐々木譲

オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
北海道県警に警察庁から特別監査が入った、監察官であるキャリアの藤川警視正は、監察の協力者として、半年前に北海道県警の裏金問題を証言した津久井(つくい)刑事を指名する。
舞台は「笑う警官」の半年後である。目線は監察官の協力者を努める津久井(つくい)と、別方面の捜査から、道警内部に疑いの目を向ける佐伯(さえき)、新宮(しんぐう)を基本として、物語は展開される。
前作品「笑う警官」を読んだときも感じたのだが、実は「笑う警官」の一個前の作品が存在して単に自分がその作品を読んでいないだけではないか?という疑問は本作品を読んでいる際も感じた。それは、言い換えるなら、この作品の登場人物の過去がそれだけリアルに描かれているということなのかもしれない。
「笑う警官」でも活躍した女性刑事小島百合(こじまゆり)巡査は本作品でも登場し、その、一般的な刑事とは違ったスキルを披露して真実の究明に貢献する。その描写からは間違えなく自分が好む燐とした女性像が想像でき、僕にこのシリーズを好きにさせた大きな要素である。
また、新人警察官の新宮(しんぐう)の成長も注目である。本作品で一つの忘れられない経験をした彼が今後どうやって一人前の刑事になっていくのか。

「おれたちは、骨の髄まで刑事だよな。ただの地方公務員とはちがうよな」
「おれたちは、刑事です」
「目の前にやるべき事件があり、しかもおれたちが解決できることだ。こいつを組織に引き渡すなんて真似はやるべきじゃないよな」
「そのとおりです」

本シリーズの魅力はやはり、その捜査の様子に違和感がないことだろうか、もちろん素人意見ではあるが、不自然な捜査や信じられないような偶然が起きたりしないから、リアルな警察官を感じられる。読者によっては物足りないと思う人もいるかもしれないが個人的には支持したい。

エドウィン・ダン
明治期のお雇い外国人。開拓使に雇用され、北海道における畜産業の発展に大きく貢献した。(Wikipedia「エドウィン・ダン」

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