「魔女の笑窪」大沢在昌

オススメ度 ★★☆☆☆ 2/5
裏の世界でコンサルタント業を営む女性、水原(みずはら)。過去何人もの男性と関係を持ってきたがゆえに、人を見てその人の人間性を見抜く技術を持つ。
水原のクライアントの多くは、裏の世界に生きるものたち。おのおのが独自のルールに則って生きている。裏の世界を舞台にした物語の中ではよく語られることだが、彼らは表の世界以上に、「義理」…言い換えるなら「貸し借り」を重んじる。なぜなら、法律を気にしないで生きている以上そこには刑罰の類のものが存在しない。それはいわゆる強い恨みを買えばそれはすぐに「死」につながるからである。そのような考えは本作品でも大きく扱われている。
そしてそれと対比するように、法律の許す範囲でなら平気で人を裏切る人間として表の世界の人々に触れている。
いくつか興味深い内容はあったが、そこまでである。物語というのは、その主人公に共感したり、その主人公の生き方にあこがれたりしてこそ楽しめるもの。すでに中年の域に差し掛かりながら体を武器にして裏の世界で生きる女性に、どうやって読者は魅力を感じればいいのだろう。

トローリング
曳き釣り。ルアーやベイトをボートで引っ張って行う釣りの一種。

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