「神南署安積班」今野敏

渋谷の街を管轄する神南署。刑事課強行班係の安積(あずみ)係長とその部下達の様子を描く。
なんといっても本作品の見所は、安積班の4人の個性豊かな刑事たちだろう。生真面目な村雨(むらさめ)、最年少の桜井(さくらい)、太って緩慢な動作しかできないにも関わらず鋭い洞察力を持つ須田(すだ)。そして、俊敏で緻密な黒木(くろき)。読み終わった後には安積班の4人の名前と特徴を覚えてしまっていることからもその個性の強さがわかるだろう。
そして当然のように、昨今の刑事物語では当然のように語られる、現場捜査員と上層部の幹部たちの間で起こる摩擦やそ子にはさまれる中間管理職たちの葛藤も描かれている。

警察に限らずどんな組織にも二つのタイプの人間がいる。上司に可愛がられるタイプと部下に慕われるタイプだ。それはなかなか両立しない。

8編の物語から構成され、いずれも安積班を扱っているがそれぞれ活躍する人物は微妙に異なる。刑事という職場にある強い信頼関係がなんとも爽快である。
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