オススメ度 ★★★☆☆
人を操る不思議な力をもつ「ぼく」は、学校で起きた事件のために言葉を失った幼馴染み「ふみちゃん」のために、その犯人と会うことなった。不思議な力を使って犯人に罰を与えるために。
基本的に物語は、不思議な力を持ちながらその力の使い方を知らない小学四年生の「ぼく」と、同じ力を持って過去に何度かその力をつかったことがある大学教授の秋(あき)先生との間の会話が軸となって進む。
学校のウサギを殺した犯人と一週間後に面会する約束をとりつけ、2人は犯人にどんな罰がふさわしいかを話し合う。
物語は大人である秋(あき)先生が、小学生の「ぼく」の気持ちに対して、いくつかの疑問をなげかけ、時にはいろんなたとえ話や経験談を交えながら進むのが、それが「ぼく」と20歳以上も歳の離れた僕の心にもここまで響くのは、その問題が決して答えの出ない問題だからだろう。物語の中でもその場にいないほかの人物の意見としていくつかの考えが紹介されている。
生きているうちに知らぬ間に組み立てられていた自分の心の中の常識、生命の価値だったり、正義の形だったり、強さの形だったり、人を想う坑道だったり、そういった、今までとりたてて疑問に想ってこなかったものに対して、「もう一度考え直してみよう…本当にこれでいいのか、本当にこれは正しいのか…」。そう思わせてくれる作品である。
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