オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
銀座の高級クラブの新米ボーイである主人公の岩崎陽一(いわさきよういち)は常にお金に困った生活を送っている。ところが年収1億の雇われママ、上条麻耶(かみじょうまや)と出会って人生は大きく動き出す。
銀座の高級クラブを舞台としているため、ホステスという僕の生活の中ではまったく縁のない世界について、物語を通じていくらか理解することができる。永久指名や同伴、ホステスが店を頻繁に移る理由など、ホステス同士が売り上げを競いながらもクラブのイメージを崩さないためにその長い歴史の中で考え出された仕組みだとわかる。
そして、物語中盤から、陽一(よういち)は麻耶(まや)と組んで、は高級クラブ通いのお金に無頓着な人々を相手に一儲け企む。100万単位でお金が動く展開はどこか現実離れしたものを感じながらも、格差の広がった現代、こんな人たちもいるのだろう、と納得のできるものではある。そして終盤にかけては、競輪というギャンブルとそれを利用するノミ屋なども関わってきて、またいくつか、今まで知らなかった社会の仕組みに強く興味を喚起させられた。
物語全体を通じた感想を言うと、非常に読みやすい作品であった。ただ、物語を通じて一貫して主人公の岩崎陽一(いわさきよういち)の一人称で進んだのが少し残念である。高級クラブに勤めているという以外はどこにでもいそうな青年の陽一(よういち)だけでなく、複雑な事情を抱えてホステスという世界に踏み込んだ上条麻耶(かみじょうまや)などの心情表現にももっと深く踏み込んで欲しかったと感じた。
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