オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
横山健司(よこやまけんじ)は仕込んだパーティで三田総一郎(みたそういちろう)と出会う。さらに、ひょんなことから二人でヤクザの金を盗もうとして黒川千恵(くろかわちえ)と出会う。ヨコケン、ミタゾウ、クロチェの3人は一つの計画のために協力することとなる。
読みやすさを維持しながら登場人物と共に。読者を混乱の渦中にひきこんで行くテンポのよさは、著者の別の作品「最悪」に似たものがある。特に深い知識や思想を得られるわけではないが、もやもやしたものを吹き飛ばすエネルギーをもった作品である。
【Amazon.co.jp】「真夜中のマーチ」
月: 2007年3月
「千里眼 ファントム・クォーター」松岡圭祐
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
日本企業の株価が一斉に値を下げ、岬美由紀(みさきみゆき)の元には航空自衛隊の幹部から、「目に見えないミサイルが日本を狙っている」という情報が入る。そんな中で美由紀(みゆき)は拉致され、奇妙な街、ファントムクォーターへ送り込まれる。
ワンセグやHDDレコーダーなど最新機器をトリックに取り入れており、それ以外にも多くの物事に興味を引き起こす要素に事欠かない。そしてラストは目に見えないトマホークを防ぐために美由紀が奔走する。前シリーズに比べやや大人しい印象を受けたのは前作と変わらないが、そんな中、早くも話の展開に現実離れした感覚を覚えた。
【Amazon.co.jp】「千里眼 ファントム・クォーター」
「影踏み」横山秀夫
オススメ度 ★★★☆☆ 3/5
主人公の真壁修一(まかべしゅういち)はノビカベと呼ばれる泥棒。15年前に焼死した双子の弟の啓二(けいじ)の魂と共に生きている。二年前に逮捕された真壁が、出所してからの出来事を7編収録してある。
真壁(まかべ)の耳に響く啓二(けいじ)の声が物語を面白くさせている。泥棒という視点も勿論面白いが、双子という視点からの独特な考え方もまた興味をそそる。そしてその人間関係の中に、啓二と真壁の二人が愛した女性、久子(ひさこ)が絡んでくる。
泥棒同士の人間関係、刑事との駆け引き。「第三の時効」に登場する刑事たちが見せたような、鋭い観察力を持つ男を、今回は泥棒である真壁が務める。ただ、「泥棒」という題材のせいか、やはり現実から程遠い感じは否めない。とはいえ実生活の中で、経験やメディアを通じてもまず触れることのない世界を見せてくれるという点では秀作と言えるだろう。
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