オススメ度 ★★★★☆ 4/5
松岡圭祐の「催眠」シリーズの第二弾であり、時間軸から見ると「催眠」の物語の数年前の出来事となる。
嵯峨敏也(さがとしや)はあるとき謎の女から電話を受け、伝言を頼まれる。
聞いたことのない名前を突然指示されて嵯峨(さが)は戸惑いながらも、真実を知ろうとする。
一方で、神経症を患っている木村絵美子(きむらえみこ)はカウンセラーの深崎透(ふかざきとおる)と再会し、同時に神経症の治療も再開することとなる。
カウンセラーと相談者との恋愛というタブーに触れながら、それを爽やかな作品に仕上げられている。嵯峨敏也(さがとしや)は語り手として登場するのみであるが、彼の視点なくしては物語のテーマは成立しない。
そしてラストは驚きと感動の結末である。松岡作品には珍しく、読むのに半日もかからない薄さで、一読しても決して後悔することはないだろう。
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