「最悪」奥田英朗

オススメ度 ★★★★☆ 4/5
最近、奥田英朗の本がおもしろい。「邪魔」につづいてこの本を手にとった。
自分は100万の札束を近くで見たことはない。別に貧しい暮らしをしているわけではないが、それでも10万もの現金が財布の中に入っていると気になって仕方がない。そういえば銀行に勤める友人がいつかこんなことを言っていた。仕事中に200万足りなかったのでみんなで探したらゴミ箱の中に2つ札束が落ちていた・・と。銀行に勤める人にとっては100万の札束など100万の価値はない。本屋さんが扱う本と、八百屋が扱うキャベツと大して変わらないのだ。
そう、社会には何千万のお金を右から左へ動かす仕事がある一方で、10万のお金を工面するのに苦労している人もいる。そんなお金に対する間隔の違いが、人と人との間に誤解や嫉妬やトラブルを生むことになるのだ。
この「最悪」では、町工場を経営している川谷。チンピラとして生活している和也。銀行に勤めるみどり。まったく違う境遇で生活している3人はそれぞれ人間関係やお金に悩みつつ生き抜こうとする。そしてあるとき3人の人生は絡みあう。人生落ちていくってのはこういうことなのか・・川谷と和也の境遇は他人事のように傍観していられないリアルさがある。これこそ最悪である。
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