今回はライティング(書く方)についてお話しします。デザイナーのメインはビジュアルとはいえ、原稿がひどければいいサービスを作ることはできません。必要に応じて手直しをする必要があります。
さて、Webやアプリに掲載する文章が必要以上に長くなる。これはどんな組織においても見られる傾向です。書けば書くほどたくさん伝わる、と考えて、書けば書くほど読まれなくなる、という考えに至らない人はたくさんいるからです。
Webやアプリの文章を作るときの基本は、対面で話すときと変わりません。つまり、実際にお客さんがお店を訪問したときにスタッフが言うであろうことを、言うであろうタイミングで書くべきということです。このような考え方があるから、ついついお客さんに対面で話すように、過剰に丁寧に書いてしまう気持ちもわからなくはないです。しかし、
聞くのは受動的な行為、読むのは能動的な行為
という違いがあることを頭に入れておきましょう。つまり、読むのは聞くより大変だということです。聞くという行為では作業者(話す人)はサービスを提供する側だが、読むという行為においては作業者(読む人)はサービスを受ける側だということです。
したがって、サービス提供者として当然のことではありますが、訪問者の読むという負担を減らしてあげなければならないのです。とはいえ無礼になってはいけません。つまり
礼儀正しさ、分かりやすさを失わない範囲で可能な限り簡潔にする。
ということが必要なのです。具体的には次の3点を意識すればいいでしょう。
- 冗長な表現を回避する
- 過剰な丁寧さを省く
- 言うまでもなく明らかなことを言わない
例を交えて説明してみましょう。例えば動画を投稿する画面に次のような注意書きを掲載しようとしています。この文言を改善するとしたらどうなるでしょう。
初めての方は動画投稿ガイドラインを必ずお読みいただいてから、動画の投稿をお願いします。
普通の会話で聞いても違和感は感じませんが、文字になると必要以上に長いと感じるのではないでしょうか。冗長なのは「動画投稿」、過剰な丁寧さと感じるのは「お読みいただいてから」と言う箇所です。以上を省いて自然のならびにすると
初めての方は、事前に必ず動画投稿ガイドラインをお読みください。
と短くまとめられるます。これだけ短くしても、特にわかりにくさや無礼さは感じないのではないでしょうか。このような細かい気配りをサービス全体で行ってこそわかりやすいサービスが出来上がるのです。
ぜひ、こんな目線で自分たちのWebサイトやサービスの文章を見直してみてください。ずっと使いやすく分かりやすいサービスになることでしょう。